こんにちは。
今回は、もんでんあきこ先生の漫画「エロスの種子」のあらすじと感想をお届けします。
上質な文学作品のような漫画です。
「エロスの種子」とは
「エロスの種子」には、
- 因果
- 人形
- ジゴロ
- マリーゴールド
の4つの短編が収録されています。
メインのタイトル通り、いずれも「エロス」をテーマとした作品。
ここで描かれているのは、人間の生き様としての性、あるいは、人と人との愛情の物語なのです。
「エロスの種子」のネタバレ
エロスの種子第一話 因果
大学生の蒼井孝太郎は、師事する大学教授宅に、書生として住み込むこととなる。
教授には、娘と見間違えるほど若い妻・珠子がいた。
珠子を一目見たときから、密かな恋心を抱いてしまうものの、夜の営みの声を聞き、悶々とする孝太郎。
ある夜、教授が帰宅できなくなり、珠子と2人きりで過ごすこととなる。
ついに、一線を越えようとした二人の前に、突然、現れた教授。
修羅場が始まると思いきや、教授は続きを促すのであった。
彼は、なぜか妻を抱くことができなかったのである・・・。
それから20年以上経った頃、孝太郎のもとに教授が人を寄こしてきた。
やってきたのは・・・。
エロスの種子第二話 人形
終戦間際、身寄りを亡くした鞠子は、地主の松岡に拾われる。
食べ物に不自由せず、寝床もあって、風呂にも入れる。
そんな暮らしと引き換えに、松岡の相手をすることとなる鞠子。
手が不自由な松岡に変わって、鞠子の身体をほぐす同居人の紫乃。
彼女の手ほどきによって、一気に女の悦びを知ってしまう鞠子。
しかし、夫婦のような関係の松岡と紫乃に、「なぜ、自分が必要なのか」と問う鞠子。
その答えは・・・。
女を抱きたくても、抱けない男・松岡。
抱かれたくても、抱かれることができない女・紫乃。
鞠子は、この奇妙な関係の二人の人形なのであった。
しかし、鞠子は、男に抱かれるためだけに生まれてきたような女。
やがて・・・。
エロスの種子第三話 ジゴロ
ボクサーくずれの六郎は、その日暮らしのやさぐれた生活を送っていた。
たまたま入ったスナックのママ・雅美に店の用心棒にスカウトされ、そのまま居候を決め込むことに。
雅美の家には、小学生の娘・凛がいた。
親子のように暮らす六郎と凛であったが、やがて凜は六郎に恋心を抱くようになる。
凜の気持ちを知った母・雅美は、嫉妬に猛り狂う。
その様子をみて、凜は「諦める・・・」とつぶやくのだ。
数日後、スナックにいる六郎に凜から助けを求める電話がかかってきた。
急いで六郎が駆けつけると・・・
エロスの種子第四話 マリーゴールド
昭和40年代のストリップ劇場。
踊り子になりたいとやってきたのは、身寄りのないハーフの女の子・鈴木一子。
支配人の林は、客の前で一曲踊りきったら採用してやると告げる。
最後まで踊りきった一子に観客は大受け。
マリーゴールドの花束までもらった一子に、林は「マリー」の呼び名を与える。
見る間に人気者となったマリーであったが、高度成長期にあってストリップ劇場は寂れていく一方。
「生板ショー」を始める小屋まで現れる中、次々とやめていく踊り子たち。
専属の踊り子がマリー一人となった夜、彼女は林に抱いて欲しいと伝える。
踊り子が色気を出すためにどうすれば良いか?先輩に教えてもらったのは「初めて好きな男に抱かれたときを思い出す」ということ。
そのため、マリーは林に抱かれようとするのであった。
ある日、唐突に、劇場のオーナーが地回りのヤクザに代わった。
ヤクザは林に「生板ショー」を始めるように指示する。
林は自分を犠牲にして、ヤクザからマリーを逃がす。
そのとき彼女に伝えたのは、芸名を変えることと、必ず迎えに行くということ。
長い時間が経って、林はある劇場を訪れた。
そこで彼が目にしたモノは・・。
「エロスの種子」の感想
以上、「エロスの種子」に収録されている4つの短編のネタバレ・あらすじでした。
「因果」では、背徳と呼ばれるような行為と巡りまわる運命が。
「人形」では、二人の女の情念と生きることへの意志が。
「ジゴロ」では、愛を叶えるための画策が。
そして、「マリーゴールド」では、一人の男の純愛が。
4編とも、しっかりとしたストーリーがあり、そこには、それぞれの性にまつわる”業”が描かれています。
この業こそが、作者の言わんとするエロスではないでしょうか。
ぜひお読みいただきたい、おすすめの一冊です。
*一番のおすすめは「マリーゴールド」です!