「限界集落温泉」のネタバレ。ヤマ師・アイドル・オタク・オッカケのドタバタも最後は感動の傑作漫画

こんにちは。

今回は、鈴木みそ先生の漫画「限界集落温泉(ギリギリ温泉)」のネタバレです。

舞台は伊豆・下田。

「開国してくださ~い」のペリーさんがやってきた場所として有名なこの町、海水浴場とともに温泉を楽しめるリゾート地です。

しかしながら、町としてはご多分にもれず、人口減少と高齢化がすすんでおり、さびれゆく一方。

そして、温泉街も客足が遠のいているのが現状だとか。

鬼才・鈴木みそ先生による漫画『限界集落温泉』は、すでに廃業となった温泉宿を舞台に、ドタバタを繰り広げながら、オタクパワーで宿と街を復興していく社会派コメディです。

「限界集落温泉」とは

「限界集落」とは、過疎化が進んで人口の50%以上が65歳以上の高齢者で占められる集落のことを指します。

集落としての存続が限界に来ているということで、めちゃくちゃストレートなネーミングですね。

漫画「限界集落温泉」のタイトルは、何とかギリギリ残っている「限界集落のような温泉街」という意味で使われています。

「限界集落温泉」のあらすじと登場人物

主人公・溝田。アイデアマンで、実行力を持っていて、詐欺師さながらの弁舌の立つ人。だけど、元はゲームクリエーターで仕事から逃げ出し、洞窟に住み着いていた。

溝田が廃屋だと思って忍び込もうとした温泉宿「山里館」には、立ち退きを迫られている旅館の主人・山里と、聡明な小学生の息子・龍之介の二人が暮らしていた。

溝田が龍之介に温泉に入らせてもらっていたところ、山里に立ち退きを迫りに来た川端康成そっくりの旅館組合理事・川辺。

溝田は東京のデベロッパーのふりをして、その場は川辺を追い払うものの、立ち退きまでに残された猶予は2週間だけ。

何とかしなければ、せめてかわいい女の子でもいればと思案していたところに迷い込んできたのがネットアイドルで自殺願望をもつ病んだ美少女「あゆ」

(美少女と呼ぶには、すでに年齢は経っていますが・・・)

あゆの携帯の電波をたよりに、居場所を突き止めたオタクなおっかけ連中が、大挙して山里館にやって来る。

それを見た溝田は、あゆを目玉とした企画を考えていく。

「限界集落温泉」の読みどころ

「限界集落温泉」の読みどころは、なんと言っても溝田の活躍ぶりです。

口八丁・手八丁で、まずはあゆのおっかけであるオタク連中を客として宿に呼び込み、みかん狩やら撮影会やらを開催し、お金を吸い取っていきます。

次に、街の住民を相手に「なんでも鑑定ショー」を開催。その際に、あゆ目当てのオタクをうまくおだてながら、協力させます。

このインチキだらけのショーの仕掛け方とか、オタクをおだてて、そのきにさせるやり方なんかは、ほぼ詐欺師なんですが、「やり手」と言われる人たちは実際にやってるんだろうなぁ、と思えるもの。

そして、いとも簡単に引っかかっていく人たちは(大した実害もないので)、何とも微笑ましいと言うか。

こうやって、売れない漫画家やモデラー、ゲーム作曲家、そして、新興宗教信者の美少女などが、絡んでいきます。

彼らの東京での鬱屈した生活ぶりとは裏腹に、自分の活躍の場を得て、いきいきしていく様も見ごたえがあります。

そして、作品終盤では「選挙」という一大イベントに突入。

ここでも、溝田は手練手管を発揮し、大いに盛り上がりを見せてくれます。

また本作中、随所にサブカルチャーやSNSが用いられています。そして、いわゆる地下アイドルの伝播や衰退が描かれており、この方面の知識も得られます。

おわりに

「限界集落温泉」は、日本中いたるところにある限界集落の今後を考えるうえで、ほんとうに参考になるお話です。

が、それとともに、ヤマ師・溝田の口車に乗せられ、病んだ美少女?に振り回されるオタクたちの変化には、ものすごく共感できるものがありますよ。

引き伸ばそうと思えば、まだまだ引っ張ることができたこの作品は、実にいさぎよく終わります。

この最終話は実に感動的、『限界集落温泉』ぜひお読みいただきたい傑作です。

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